言葉の赤い糸
あなたに辿り着くまで
私長い旅をしました
こんなにも目の前に居るあなたを
見ていなかったなんて
一体私は何を見ていたんでしょう
節穴だった私の目を
あなたに向けさせたのは
失った恋に溺れていた私に
投げかけてくれた
一本の言葉の赤い糸でした
●
こんな夜は
何も書けない
何も思いつかない
こんな夜は
ショパンのノクターンをしみじみ聴く
このまま眠ってしまいそうです
●
夢
私は夢を持っている
しかしこの夢は少しばかり重い
夢を叶えるには
したくない沢山なことをしなくてはならない
生憎私は怠け者
夢はあくまでも夢であって
現実には程遠い
まあ仕方ない
夢は無いよりあった方がいい
夢は夢のままで終わるかもしれないが
もしかしたらある日突然叶うかも
そんな日を夢みて
夢を見ている
●
許そう
あの時のあなたの言葉が
あまりにも冷たくて
悲しみというより
只々呆然としてしまい
どこを歩いているのか分らないまま
歩き続けてしまった
気が付くと橋の上にいた
川を覗くときれいな水のせせらぎが
「気にしない気にしない」
と言ってくれているようで・・・
その時になって初めて涙が落ちた
水と一緒に涙も傷ついた心も
流れていった
許そう許そうあなたを
誰でもない自分のために
●
暗い毛布
笑ってしまう程の
暗い毛布に
幾重にも幾重にも包まれ
どうもがいてももがいても
どうにもならず
毛布の中で只ただ笑う
こんな日は
笑いながらじっとしていればいい
いつの日かこの暗い毛布が
一枚いちまい剥がれ
心の底からの本当の笑いがやってくる
だから今は
じっとこの毛布に包まれておこう
●
夜の観覧車
夜の観覧車は
光を放ちながら
遠くでゆっくり廻っている
函ごとにきっと
恋が生まれたり
ひょっとして
恋が破れたりしている
遠くから観る観覧車は
素知らぬ貌を見せながら
函ごとに
物語を秘め廻っている
さも幸せそうに
●
あったかすぎる
あったかすぎる
このココア
そしてなによりも
きみのことばが
いちばん
あったかすぎる
●
秦本幸弥
●ありのままに生きてます 見習いたくなるいきもの物語
KADOKAWA
加藤英明 秦本幸弥(共著)

パンダ。ウマ。ナマケモノ。あなたはどのタイプ?
ナマケモノは頑張らないからこそ生き残る! クマノミ
は生きやすさのためにオスがメスに? ウマは自分の使
命に限界を超えて力を尽くす。
いきものにはそれぞれの生き方があります。私たちか
ら見ると、かわいすぎたり、ちょっと変わっていたり
それで自然の中でやっていけるの!?
と思えるものだったり。でもそれは、彼らにとっては
普通の生き方。そんないきものたちのありのままの姿
を、物語で紹介します!
ナマケモノの命がけのトイレミッション。出会いの季
節に出会った肉食系メスカマキリと草食系オスカマキ
リの恋の行方。クマノミの群れのナンバーツーにおと
ずれる試練。陽気なホッキョクグマの厳しい一夏。未
熟な傭兵とベテラン軍馬の戦い。流れに身を任せるク
ラゲの選択。かわいいパンダがかわいい理由。
いきものたちの、七つの物語。あなたの生き方は、ど
のタイプですか?
★ 秦本幸弥公式サイト
http://yukiya1.com/
何もしないということ
あれをやっても駄目
これをやっても駄目
何をやっても全て駄目
そうだこんな日は
何もしないに限る
しかし
何もしないということは
いわゆるひとつの
何もしないという選択のひとつ
全く何もしないということは
それはそれで
難しいことだと心から悟った
●
焦らさないで
さあここまでおいで
もう少しで手が届くというのに
私の夢よ
どうしてそんな所で足踏みしているの
もうすぐだってば
お願いだから頑張って
私、嫌いなんだよ焦らされるのは
こんなに近くに居るというのに
夢よ夢よ
お前はどうしてそんなに意地が悪いの
私はほら
こんなに近くに居るんだよ
鼻歌うたってスキップして来て
焦らさないで!私の夢よ
●
寂しくて
寂しくて寂しくて
たった一人で居ても
二人で居たって
大勢の中に隠れてみても
寂しくて寂しくて
笑い顔を作ってみても
寂しさは尚更
重く重く私にのしかかってきます
こんな時は何をして
気を紛らわしたらいいのでしょうか
●
あなたの居ない日は
あなたの居ない日は
一人でコーヒーを飲みながら
とてつもなくロマンチックな本を読む
勝手に恋をして
勝手に別れて
狂おうしい程に傷ついたふりをして
冷めかけたコーヒーを啜る
ヒロインに
そこまでのめり込むからいけないのだ
と思いつつも
私ものめり込む程の恋をしてみたかった
と思ったりもした
●
春はまだか
十四度から上がらない室温
ガスストーブがかすかな音をたて
チロチロ燃えている
僅かに開けた窓から
冷気が方頬を撫でる
冷たい!身も心も
すっかり冷えきった心の片隅で
春が来るのを待っている
春はまだか
春はまだか
窓の外では粉雪が
風に吹かれ舞っている
春はまだか
春はまだか……
●
また今度
あなたから
「また今度ね」と電話は切れ
また今度ねを
待って半年
●
秦本幸弥
●児童書
ありのままに生きてます 見習いたくなるいきもの物語
KADOKAWA
加藤英明 秦本幸弥(共著)
●『死神とエプロン』
双葉文庫
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
●「異世界マルチビジネス ~今の収入に加えて毎月金貨一枚もらえたら?~」
KADOKAWA
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
●「パティスリー幸福堂書店はじめました 1~3」
双葉文庫
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
●「本日、職業選択の自由が奪われました」
双葉文庫
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
●「かいぜん! ~異世界コンサル奮闘記 1~3」
TOブックス
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
●「個人商店の利益を上げるIT活用術」
すばる舎:電子書籍
秦本幸弥 Yukiya Hatamoto
★ 秦本幸弥公式サイト
http://yukiya1.com/
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茫然自失
足掻いてもあがいても
抜け出せない泥沼から
やっと抜け出せた時
安堵という二文字よりも
茫然自失という
四文字の方が似合うと思う
●
幸福の箱
誰も皆幸福の箱を持っている
今不幸な人は
幸福の箱のある事に気がつかないのか
幸福の箱の開け方を知らないのだ
私は幸福の箱を開けようとしているが
どうやら鍵の暗証番号を
忘れてしまっているようだ
あの暗証番号を書いた紙を
何かの本にはさんでおいた筈だが
その本のタイトルさえ忘れてしまった
突然躓いて机に当たったその拍子に
机の上の本が崩れ床に落ちてきた
たまたま本が開き紙切れが出てきた
それこそが私の探していた鍵の暗証番号だった
幸福とはある日突然
思いがけなくやってくる
●
道草
私の今迄の人生は道草ばかり
真剣に生きた事が全くなかった訳ではない
しかしその殆どは道草ばかりだった
今にして思う
もっと真剣に何かに取り組んできたらと
でももう遅い
こうなったらこれからもずっと
道草を食いまくって
道草道を極めてやろう
道草万歳
私よ万歳
●
私の心
心という
器が
あまりに小さすぎて
支えきれない
わ・た・し・と言うもの
●
さよなら
さよならには
まだ逢えるさよならと
もう二度と逢えないさよならがある
それなのにあなたは
二度と逢えないさよならを
何気なくいとも簡単に私に告げた
一瞬何を言われたのか分らなかった
「え!さよなら?」
一度口に出し後は無言
何とも言えない思いが行ったり来たり
そしてやっと出た言葉が
「本気?」だった
さよならは
さよならはそんなにサラッと言わないで
●
逃避
現実逃避をしたくなり
夜汽車に乗りこんだ
夜汽車の窓には
暗く沈みこんだ私が
じっとわたしを見つめ
物言いたげな顔をしている
こんな筈じゃなかった
こんな筈じゃ
だったらどうすれば良かったのか
只・今は自分の弱さが
その不甲斐なさが自分を責める
仕方ないじゃん
仕方ないじゃん
そんな私が居るから
全て丸く収まる事もあるのだ
東の空が少し明るくなってきた
●