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幸福の箱



誰も皆幸福の箱を持っている

今不幸な人は

幸福の箱のある事に気がつかないのか

幸福の箱の開け方を知らないのだ



私は幸福の箱を開けようとしているが

どうやら鍵の暗証番号を

忘れてしまっているようだ



あの暗証番号を書いた紙を

何かの本にはさんでおいた筈だが

その本のタイトルさえ忘れてしまった



突然躓いて机に当たったその拍子に

机の上の本が崩れ床に落ちてきた

たまたま本が開き紙切れが出てきた



それこそが私の探していた鍵の暗証番号だった

幸福とはある日突然

思いがけなくやってくる









昨日と違う今日



晴の日は晴のように

雨の日は雨のように

雪の日は雪のように

その時々の気持ちが湧いてくる



しかし

同じ晴れでも雨でも雪でも

皆違う思いが湧いてきて

三六五日同じ日はない



だから

今日は昨日と違う今日が送れる



昨日と違う今日

今日と違う明日



毎日違う今日が

あと幾日私は送れるだろうか









儚い夢



私には

かってあった筈の夢が

一つ消え二つ消え

しゃぼん玉が弾けるように

消えていってしまった



夢と云う儚いものを

心に抱いていた頃は

瞳が輝き溌剌としていた



それが決してたやすいものではない

分ってきた時から

夢を見るのをやめようと思った



今でも全くない訳ではないが

それはちょうど

昼間に見る三ヶ月のように儚い









鬼ごっこ



頭の中で

言葉がくるくる鬼ごっこ

やっと捕らえた言葉の尻尾が

スルリと手から抜けだして

またまた言葉と鬼ごっこ

止めようよ止めようよ

追いかけるのに疲れたよ



それでも鬼はニヤリと笑い

おいでおいでと手を振って

まだまだ続く鬼ごっこ



鬼さん鬼さんもう眠ます

続きは明日にしましょうね



やっと鬼から自由になって

夢の世界の人となる











ぶらんこ



ぶらんこが揺れてた

私の心のように

寂しく揺れてた



今の今まで

ぶらんこに子供が乗っていた



夕暮れの公園に

寂しく揺れてたぶらんこは

やがて動きが止まり

私の揺れてた

心の想いも止った



そして夕日はゆっくりと落ちていった











鼻歌



言葉を踏んずけた

踏みたくないけど

踏まなきゃ歩いてゆけない



きれいな言葉きたない言葉

希望の言葉怒りの言葉

喜びの言葉悲しみの言葉



あちらこちらに散らばって

歩き辛くてたまらない



そこへ清掃車が来て

言葉のゴミを拾って行った

そうか今日はゴミ収集日だ



すっかりきれいになった道を

私は鼻歌まじりに

スキップをして通った



私の後には鼻歌が落ちていた

ちょっぴり調子外れの

鼻歌が落ちていた











ハグ



ハグしてますか

ハグしてますか

子供にハグ

夫にハグ

妻にハグしてますか

ハグは言葉と同じくらい

愛が伝わります

ハグは言葉それ以上

癒されます

子供は

夫は

妻は待ってます

あなたからのハグを

そして一番待っているのは

あなたの親かもしれません











ポケットにありがとう



ありがとうを

ポケットにぎっしりつめこんだ

今日はこのありがとうを

いくつポッケトから

出してやれるかな



お店三軒まわって

店員さんにありがとう



ちょっぴり道をゆずってもらて

ありがとう



風で飛んだ帽子を拾ってもらって

ありがとう



想わぬ戴き物に

とびっきりのありがとう



あれこれ使って

ポケットは軽くなったけど

あともうひとつだけ

ありがとうが残ってる



そうだ

このひとつは

あなたのために

とっておこう











人間て



人間て

切ないもの



人間て

楽しいもの



人間て

残酷なもの



人間て

優しいもの



人間て

弱いもの



人間て

強いもの



人はそれぞれのものを少しづつ

または多くのものを持って

生きている生き物









茫然自失



足掻いてもあがいても

抜け出せない泥沼から

やっと抜け出せた時

安堵という二文字よりも

茫然自失という

四文字の方が似合うと思う









金木犀



金木犀の花が強く薫る早朝

まん丸の月がひかる



薫りと月を友にして

早足に歩く



冷えていた体が

少しづつ暖かくなり

やがて汗が出てくる



薫りは途絶えては薫り

月は黄色から白くなってきた









あ~さっぱり



わずかばかりのプライド

わずかばかりのエゴ

わずかばかりの優しさ

わずかばかりの非情さを持ち

人間は生きている



生きている間は

これらに振り廻され

死ぬ時は全部捨ててゆく



あ~さっぱり

何てすっきりするんだろう











砂山



手の中の砂を

少しづつ落としてみる

砂はサラサラと

砂浜に小さな山を作る



何度も繰り返し

足元の山は少しづつ高くなる



どうしてこんな事をと

何度も手を止めてはみたが

自分の中のどうしようもない気持ちを

解決できず



手の中の砂は

自分の意志の外で

砂の山を高くしている



自分の中ではもう決まっているのに

自分の中の何かが砂の山を高くしている

サラサラと











目を耳に



電車の中の

君の言葉が

聴こえない



こちびるの動きに

目を耳にする











晩鐘



部屋の壁の一か所が

白くなっています

あの・あなたが好きだった

晩鐘の絵をはずしました

あなたが去った今

それを観るのが辛過ぎるから



今度はもっと明るい絵にします

どんな絵にしましょうか

寂しがりやの私にぴったりな

想わず笑いたくなってしまう様な

そんな絵を

明日さがしに行きます

あなたを忘れるために











青い空



青い空

青い空

ずっとず~っと青い空

この青い空を

感動して見てる人も

そんな余裕のない人も



地球に住む人

みんなみ~んな

ほら

心の窓をあけ

この青い空見ようよ



青い空

青い空



海も青い

空も青い

地球も青い

み~んなみ~んな素晴らしい













うのめたかのめうおのめいたい

やっかいちょっかいおせっかい

つるつるすべったおやじのだじゃれ

ごえもんいえもんどらえもん

なんだかんだでしたかんだ

うっかりちゃっかりうそばかり











ポエム



ポエムとはあちらこちらに散らばった

言葉をちまちま紡ぐこと

路傍に落ちている名詞

葎にひむ形容詞

空にぽっかり浮く動詞

そいつを糊でくっつける

つけて剥がして削って足して

やっとポエムの顔できた











お噺



秋の日のつるべおとしの夕暮れは

ハラハラヒラヒラ枯葉舞い

落葉のおしゃべりはじまるよ

ワクワクするよなお噺を

囁きあってるあちこちで

カラカラコロコロ楽しそう

ちょっぴりドキドキするような

そんなお噺きこえます

カラカラコロコロ楽しそう

子供の去った公園は











私の心



心という

器が

あまりに小さすぎて

支えきれない

わ・た・し・と言うもの











あの頃の味



煮詰まった煮詰まった

言葉探しに煮詰まった



焦げついた焦げついた

ついに言葉が焦げついた

鍋の底をがりがりこそげ

言葉のお焦げを舐めてみた



なんかちょっぴりいける味

お焦げもたまにはいいものだ

嬉なつかしあの頃の

遠い昔のあの頃の味











ありがとう



ありがとう

ありがとうって言葉はいいね

たった五つの文字だけど

愛の想いがつまってる

ありがとうの言葉を

色とりどりの風船に

いっぱいいっぱいつめこんで

空にふわふわとばそうよ

ほら!ありがとうが

空いっぱいに広がって

世界中がありがとうに

包まれてるよ











秋色



世の中が秋色になって

私の心の中も

夏とは違い

どことなく余裕のようなものができてきた



新しい料理にチャレンジしたり

机の上に積んだままの本を読んだり

ウインドーショッピングもしたい



夏の間籠っていた感情が

一斉に溢れだしたみたい



そうそう

今あいているプランターには

何の種を蒔こうかな



自然と楽しみが湧いてくる









心が欲しい



心が欲しい

何枚もの心が欲しい



怒りんぼうの人と話す時は

スーパーマンみたいな強い心を



寂しがりやの人と逢う時は

天女の羽衣の様な心で



心が挫けてしまった人と接する時は

広い海に抱かれた母の慈しみに似た心



その時々に羽織り変え

皆を助けてあげられたなら

自分が一番幸せになれる



そんな着せ替え人形みたいな

素敵な心を下さいな

お願い神様ワンセット











雨だれ



窓ガラスを雨粒が伝っている

あヽ今日も雨



たまの雨なら風情もあるが

これだけ続くとうんざりする



青く澄んだ爽やかな空が恋しい

無性に恋しい



今は窓ガラスを滴る雨粒を観ながら

ショパンの「雨だれ」を聴いている









舞う言葉



舞ってまって

言葉が舞って

一枚の紙の上でそっと留まる



まるで蝶々が

花からはなへ移ろうように



舞い続けていた言葉が

秋の陽差しを受けて

一遍の詩となった









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