詩の末路



詩を書いた紙が本の間から出てきた

一年前のものだ



書いてはみたものの

何となく気に入らず

だからといって捨てがたく

とっておいたものだ



直せるものならば直し

日の目を見せてやりたい



改めて読みなおした

やはりなっていないし

添削のしようもない



一年もとっておいたが

ゴミ箱に入ってもらうことにした









天気予報



今の私の心

曇り後雨



あなたからのたったひとことの

優しい言葉で

私の天気予報


雨後晴れ









とても幸せ



今 とても幸せ

あなたと居るから



ありふれた店の

ありふれたコーヒーさえ

最高級な飲み物に



勝手に思って

勝手にさわいで

有頂天になっている自分が怖い



もし あなたが居なくなったら・・・

そんな思いはどこかに捨てて



今はどっぷり幸せのお風呂に

のぼせるまでつかっていよう









あったかすぎる



あったかすぎる

このココア

そしてなによりも

きみのことばが

いちばん

あったかすぎる









雑念から眠り



深夜目が覚めた

時計の音が気になる



いつの間にか雨が降りだしたようだ

時計の音と雨の音



もう一度眠ろうと

羊の数をかぞえ始めたが

羊が頭の中であばれだし

かぞえるのをやめた



羊より厄介な雑念が

頭の中を占める



払ってもはらっても

雑念はアメーバーのように増殖する

増殖する雑念に身をまかせているうちに

どうやら眠りに入ってしまったようだ









抜け殻



私は心を身体(からだ)から取り出し

武者修行に行くようにと言った



心はうずくまり一歩も動かない

業をにやした私は

「何をしているの!」と怒った



自分一人じゃどこへもゆけないから

一緒に来てほしいと



それじゃ今迄と変わりがない

一人旅をして強くなって来いと

お尻を蹴とばした



心はうらめしそうな目で私を見つめ

トボトボ歩いていった



三ヶ月ほどたち心が戻ってきた

出て行った時とは見違えるほど

逞しくなって



私は嬉しくなって

早く私の身体の中に入るように言った



心はバカにしたような顔で私を一瞥し

「そんな弱い身体には入れない!」

と言い残しどこかへ行ってしまった



呆然とした私は佇むばかりで

心のない抜け殻となってしまった









ほんとうはね



ほんとうはね

嘘なんてつくつもりはなかった

でも聴いているあなたが

あまりに嬉しそうにしているから



人が歓ぶ嘘なら誰も傷つかないからと思って

一生懸命嘘ついちゃった



それっていけなかった?

だってあんなに歓んでいたんだもの

でもいけなかったのね



ほんとうはね

あの日とても悲しいことがあって

それを聴いてほしかった

でも言えなかった



あなたが眩しいほど

幸せそうだったから









身の丈の幸せ



金木犀も

二度咲きの花を散らし

芳しい香りもなくなり



朝夕鳴いていた虫の音も絶え

木の葉は少しづつ色づき始め

秋もいよいよ深まってきた



新米のご飯でおむすびを作り

秋の日差しを浴び

近場の公園で頬ばる



口の中でジュワーと

小さな幸せが広がり

顔が自然と微笑む



こんなありきたりな

小さな小さな幸せが

今の私の身の丈にぴったり合っている









化学反応



リトマス紙が

アルカリ性に

変わる時

私の心も

青ざめている









強い心



わたしはやわな人間だ

人の言葉の棘にはすこぶる弱い



棘はすぐ刺さるくせに

なかなか抜けなくて

ややもするとそこが膿んできたりする



こんなわたしだから

外にでる時は

棘が刺さらないように

心のガードを堅くして出る



本当はどんな棘が刺さっても

大丈夫な肉体にしたい

それには強い心が必要になる



通販で強い心は売っていないだろうか

今や通販には何でもありになっている

発売されたらいの一番で買うのに

待っている人

きっと多いと思う









早く見つけて!



五時半に「夕やけ小やけ」が鳴る町の

どこかに私は隠れています



それはもうあなたが探していた

そのすぐ傍です



見落としなんてしないで

早く見つけて!



それじゃないと私

狼にさらわれてしまうから









分ってください



分ってください

私という人間を

百パーセントなどとは言いません

その半分で十分です



私がバカなことをした時

こんな所もあるんだと

大目にみて笑ってください



あなたにとって

歓ばしいことをした時

ちょっと大げさくらいに感心してください

私はそれだけで十分です









金木犀



二度咲きの

金木犀の香りがして

なくした恋が

甦ったよう



ちょっとばかり

得した気分









あなたの存在



あなたの言葉を

よく噛み砕いて呑みこんだ

その筈なのに胸やけがして

言葉の意味が理解できない



未消化の言葉が

ゲップになって辺りに散らばる



そのひとつひとつが

調理されていない食材みたいに

やけに生々しい



あれほど耳をかたむけて

しっかり聞いていた筈なのに

あなたの言葉が理解できないなんて



あなたという人を

心から受け入れていないからかも



いやあなたという存在さえもが

見えていなかったかもしれない









実南天



実南天が

日に日に赤みを帯び

また今年も年末が

駆け足でやって来る



楽しさより

ちょっぴり愁う気持ちの方が

いつの頃からか強く感じる



台風が過ぎ去り

北からの風が窓を揺らす



ああ

秋が深まった

雲があんなに急いで

山の上を飛んでゆく









未完成のままだったら・・・



失くしてしまった

パズルのパーツ



あの時君に投げつけたっけ

ちょっとした事が許せなくて

感情的になってた私



この部屋の

模様替えしていたら

ひょっこり出てきました



パズルは完成したけど

戻っては来ない恋がひとつ

ずっと未完成のままだったらよかったのに









螺旋階段



螺旋階段を

眩暈を抱きつつ

男が登る

ぐるぐるぐるぐる



果てしなく

夜空を突きぬけ

星に届けとばかり

登りつづける



最早

階段の先端も男も

闇の中に融けて見えない



今は

螺旋階段だけが

男をどこかに乗せたまま

静かに浮いている









銀杏のトンネル



銀杏のトンネル

二人で黙って潜る



言葉を交わすと

何かが逃げていってしまう

そんな気がして・・・



この重い沈黙を

明るすぎるほどの

銀杏の黄色の葉が

二人に代わって

言葉を投げかけてくれるようで

不安が遠のく










行間の幸せ



あなたから借りた本を読む

行間に

あなたを

思い浮かべ

幸せを

感じて









ちょっと待ってください



ちょっと待ってください

このコーヒーを飲み終えるまで



あなたの大切な話しとやらは

その後にしてください



私にもその前に

ほんの少しの時間が欲しい



決して逃げるつもりではなく

只気が小さいそれだけです



あなたを待たせたまま

コーヒーを飲むのも

それはそれでキツイです

頭の中では何を言われるのかと

かなり焦っています



まだ一口残っています

これを飲み干すまで

もう少し時間をください











目覚める

三秒前の夢が

走馬灯のように

流れる



現の心地よさ









やっとひとつ



やっとひとつ

熟した詩(うた)を

吐き出して

熟しきれない

柿の実ひとつ











絆 絆

脆い絆

強い絆



絆創膏ではりつけ

やっと繋がっていたり

鎖のように

強く強く結ばれていたり



温かい絆

冷たい絆



人はそれぞれ

絆を求め

絆にしばられている



ああ絆

されど絆


絆 絆 絆











万珠沙華



万珠沙華まんじゆしゃげ

真紅の花弁を

悶えるように開き

妖しいまでに咲き誇る



葉で己の身をかくすこともなく

彼岸に誰かを誘うかのように

天に向かって咲き誇る



真紅の衣を纏い

フラメンコの踊り娘の如く

激しく咲き誇る

お前は万珠沙華



大胆に咲け

気のすむまで

踊り娘のように

そして天女のように

万珠沙華











虫の音



心の中の

思いを

口に出せば出すほど

遠ざかってゆく

恋がうらめしく

無口になって

虫の音を聴く









紙飛行機


紙飛行機を折って

部屋の中で飛ばした

すぐに家具に当たり

むなしく墜落した



心なしか彼が悲しく見えた

彼も大空を飛びたいのだろうと

ベランダに出て

腕に力を込め

思いっきり投げてみた



彼は気持ちよさそうに

青空のもとへ飛んでいった











電話



あなたのことふと思い出したりして

どうしてるかな?と思う



一旦思い出すと

次からつぎに思いが巡り

やもたてもたまらなくなり電話してしまった



思っていた通りの明るい声が

私の鼓膜を揺らし

止めどなく会話は弾み

数年分の空白を埋めてしまう



さわやかな秋の空気と

あなたの声が気持ちよくて

気がつけば一時間が過ぎていた



いつか逢えたらいいねなんて

なんて叶うはずのない言葉を最後に電話を切った









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