鳥の話



突然鳥の話が聴こえてきた

「俺さ海の上飛んでいた時

急に四十肩が痛みだして

海に墜落しそうになったんだ」

「それでどうしたんだい」

「羽根の動き止める訳にゃいかないから

痛みこらえて陸まで頑張ったんだよ」

プッと吹きだした

鳥にも四十肩があるんだ~

彼等も大変なんだな

鳥のインフルエンザもあるんだから

きっと便秘の鳥もいるんだろう

鳥の世界も大変なんだ











線路



線路は続いている

ひたすら長くながく



線路の先は霞んで見えない

見えないが続いている



人生と同じか・・・

先へさきへと続いている



限りある終点に向け

人も電車も走り続ける



只違うのは

電車の終点は分っているが

人生の終点は・・・



分らない終点に向け

今日は何処行きの切符を買おうか









本来の自分



今迄無理にあなたに合わせてきた

そんな自分に疲れてしまう

そんな自分が許せなくなった



別にあなたを嫌いになった訳じゃない

本来の自分に戻っただけ

ごめんなさいこんな私で

でももしもそれでも良かったら

あなたの傍に居させてほしい









鳥のように



私は突然変な事を思った

鵜飼いに使う鵜は

餌を取るのに水中を泳ぐことが出来

地上を歩く事も出来

そして野生の鵜は空も飛び

三つの世界を楽しんでいる



人間と云えば

泳ぐ事は出来るが

自力で空を飛ぶ事は出来ない



かっては夢の中で何度も空を飛んだ

最近は運動能力が低下したのか

とんと空を飛ぶ夢も見なくなった



現実的にもかって出来た事が

出来なくなって来ているのだ

夢の中にまで限界があるとは

誠に寂しい限りだ



もう一度だけでいい

気持ち良く空を飛んでみたい

鳥のように

夢の中で









険悪な会話



質の悪い冗談はよせと夫は云った

質が悪いか悪くないかは

本人の受取り方次第だと妻が云った



そんな険悪な会話を

飼い猫のスージーは

のんびり毛づくろいをしながら

ソファーの一角でチラ観していた



その時事もあろうに妻は

スージーはどう思うのと突然ふって来た



スージーは驚いた瞳でミャーオと云った



やっぱりスージーだって受取り方次第だと云ったわ

何云ってんだ質の悪い冗談だって云ったのさ



スージーは居心地悪くなり

ソファーから飛び降り部屋を出て行った










忍び笑い



一人で忍び笑いをしています

遠い昔のセピア色のあの頃の

あの時の事を想い出して



原因は何か忘れてしまいました

教室で突然誰かが笑い出し

笑い出したらそれが止まらなくなってしまった



勿論授業中での事

「不謹慎だ!」と先生には随分怒られた

怒られても尚笑いの火は消えず

それはそれは困りました



そんな事何故想い出してしまったのか

多分心の中の何かが

笑いを必要としていたのでしょう









ハンバーガー



図書館の静寂を破り

突然子供の声が響いた

声の方をふり向くと

三才位の女の子が

母親に何かを訴えている

それはハンバーガーを

食べたいと言っているのだ



それを聴き私も食べたくなった

昼のメニューが決まった



本を選ぶのもそこそこに

図書館を後にし

ハンバーガー屋さんに急いだ



きっと今頃彼女も

ハンバーガーを頬ばり

母親と楽しい話をしているだろう









スキ



君の背に

スキ

という字をかいてみる

その指先の

行方に戸惑う











あっけなく



いつか私は死んでゆく

どの様な死に方をするのか分らないが

出来る事ならあっけなく死にたい



「死」の詩なんて書くべきではないかもしれないが

赤ちゃんが生まれる事と

同じだけ死もあたりまえに存在する



それなのに何故か

死を口にするのは憚られる



生とは明であり死とは暗だからか

やはり別れとは辛い事だ

だからなるべく口にしたくはないのだろう



出会いがあれば別れもある

いい別れ方をしたい

いつか私は死んでゆく



あっけなくあっけなく死にたい









幸せな人



君の昨夜の言葉が気になって

夕べは殆ど眠れなかった



君の口からあんな言葉が出るなんて

折角美味しく食べていた夕食も

あの後から砂を噛んでいるようで



その言葉を言った君は

何事も無かった様に

美味しそうに食事もしていたし

T・Vのつまらないコントにまで笑っていた



僕はこんなに傷ついているのに

君はそれに全く気がついていない



そんな僕に君は言った

何かたそがれてるみたいだけど

悪い夢でも見たの

だって・・・


君って君って幸せな人









添削



詩のひとつを読んでみる

全く忘れてしまっていたが

あの時こんな事を考えていたんだ



今ならこの部分をこうして

あっ、このくだりはこの方がいい



問題箇所をああしてこうしてと

添削にてんさくを重ね

かなり別物の詩になった



多分以前書いた時は

気持ちが沈んでいたんだ



今日は今日の気持ちで添削した

十年後にはこの詩を

どんな気持ちで読むんだろう









向日葵の迷路



向日葵の

迷路に心を

奪われて

探しきれない

私の本音











トイレとは



トイレとは良い発想が

突然浮かんだりする所だ



しかしトイレから出た途端

すっかり忘れてしまっている事が多い



だからトイレに筆記用具を

置いておくといいのだが

生憎我が家のトイレには

そのスペースはがない



因みにこの詩はトイレで想いついた

忘れまいと何度も復誦しつつ出て来て

すぐにペンを取った



感心する程の詩ではないか

トイレとはそんな所である









笑顔



「何が一番好き?」って訊いたら

「あなたの笑顔」って返って来た



笑い下手な僕は

「努力します」

と苦笑で答えた









君の瞳



君の瞳の

中の私の

戸惑いを

見つめられずに

顔をそむける











ねえお母ちゃん



あなたは逝ってしまいました

さようならも言わないままに

私はあなたが大好きでした

あなたは私の総てでした

ねえ、ほら、覚えてる?

あなたが私を叱った時

私はあなたの顔を見ているのが怖くて

目玉を真ん中に寄せたの

そしたらあなたの顔が二つに見えて

私は怖くなくなった

そんな私にあなたは言った

「馬鹿な顔してるんじゃないよ!」

私は知らなかったそれが変な顔だと

鏡の前でやってみた

鏡の中の私の顔は頓馬に見えた

頓馬な私が二人いた

私はそんな変わった子でした

ねえお母ちゃん

叱ってもいいから

叱ってもいいから

もう一度あなたの子供をやらせて











ぶらんこ



ぶらんこが揺れてた

私の心のように

寂しく揺れてた



今の今まで

ぶらんこに子供が乗っていた



夕暮れの公園に

寂しく揺れてたぶらんこは

やがて動きが止まり

私の揺れてた

心の想いも止った


そして夕日はゆっくりと落ちていった










絵の中の鯉



絵の中に立派な鯉が泳いでいた

私はその鯉を切り抜いて池に放った



絵の中に居たんだから

どうせカナヅチだろうと思っていた



その鯉は

始めは戸惑っていたようだが

何と泳ぎだしたではないか



楽しそうに跳ねたり

気持ちよく泳いだりしている



ああ彼も本当の池で泳ぎたかったんだ

私は鯉の泳ぎをしばらく見ていて

満足気に池を後にした









宝物



私みつけちゃいました

あなたの優しさを

でも 内緒

だってそれは私の宝物だから

宝物ってひけらかすこともできる

でも 私はしまっておきたいの

そして少しづつ味わいたい

あなたの優しさを











でんでんむし



でんでんむし

でんでんむし



詩がさっぱりでんでんむし

どこをおしてもでんでんむし

でんでんむしにたずねても

でんでんむしむしむししたままよ



でんでんむしにむしされて

どうにもこうにもなりゃしない



たよったわたしがわるいのか

でんでんむしにたずねても

やっぱりむしむしでんでんむし









八月



八月の空は眩しい

八月の空は若い

八月の空は傍若無人

ポップコーンが弾けるように

何もかもがが「動」だ



八月に恋が生まれ

八月は目一杯生きて

八月は全てを溺れさせ

八月は人を狂わせる

まるで生き急いでいるよう


八月は八月は「動」だ









シカト



最近ウツッぽい奴がチラ見しに来る

ありがたくない奴だから極力シカトしている



だけど何せしつこい

大根を切っていたり

玉葱を刻んでいてもこちらを覗っている

冷蔵庫の陰に身を潜め

私の背中には見えない目がついていて

奴の行動をちゃんと把握している



何とも気になるが

こいつを撃退するには

シカトし続けるのが一番



こちらの作戦が功を奏し

奴はやっと姿を消した

これからもこの手を使うことにしよう









溜息



朝から溜息ばかりが口をついて出る

これは何に対しての溜息か

自分自身の不甲斐なさに対してか

それともあなたに・・・



自分でも分らない

分らずに繰返す

そんな自分が嫌になってくる



あの時あなたが言った事は正しいと思う

だからこそ余計にむなしくて

自分の心の狭さが恥ずかしい



今度あなたに会うまでには

もう少しましな私になっておきたい

それまでは会わせる顔がない



もうひとつ

思いきり大きな溜息をついて

終わりにしよう









私とあなたをやってゆく



私はせっせと私をやっている

あなたはせっせとあなたをやっている



あたり前かもしれないけれど

私とあなたでは

出来あがったものが随分ちがっている



これはせっせの前からちがっているのか

せっせの仕方がちがっていたのか

私はあなたのものに憧れた



あなたはあなたで

私のほうがいいと言ってくれた

お互いに交換したいねと言ったけど

それは無理なようだ



お互いにお互いのものに憧れたが

これから先も

私とあなたはずっとこのまま

せっせと私とあなたをやってゆくでしょう









哭かなくっちゃ


蝉が哭いてるよ

何だか地球が変だって



蝉が哭いてるよ

七年前と何かが違うって



蝉が哭いてるよ

今哭かないと哭けなくなるから



蝉が哭いてるよ

今年産んだ子供は哭けるかな



蝉が哭いてるよ

何だか何だか分らないけど

今哭かないと哭けなくなるから

哭けなくなるから……











苦笑い



私が笑ったら

あなたも仕方なさそうに笑った

本当は笑うような場面ではない



それでも苦笑いと云う笑いが出た

多分あなたもそうだと思う

便利な嫌な笑いだね



こんな時はどんな言葉を持ってきたら

一番適当だったのかしら

言葉が見つからず

苦笑いになってしまった



二人共黙ったまま目の前の

湖面を見ていた

そんな時間がしばらく続き

どちらからともなく



「じゃあまたね」と

お互いに目も合わさずに別れていた

湖面にはさざ波がゆれていた









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