薔薇



薔薇の刺

ひとつひとつ取ってみる

刺の無い

私になれると

信じて













せみしぐれ



せみしぐれがいたいほど みみをふさぐ

みみなりにもにた せみしぐれのおくに

とざされていた むかしがよみがえる

むぎわらぼうしをかぶり あみをてに

もりのなかを せみをおいかけかけまわった

あのころの どうしようもないほどの

むくなたましいは どこへいってしまったのか

いまはすっかり せぞくのあかにそまりきり

きづつきあえいだたましいが ここにいる

そんなたましいに ばんそうこうをはりつけている

ひとつひとつ せみしぐれをききながら











この指とまれ



と~まれとまれ

この指とまれ

楽しいことをしたい人

とまれとまれ

この指とまれ



と~まれとまれ

この指とまれ

嬉しいことをしたい人

とまれとまれ

この指とまれ



みんながとまった

この指が

富士山こえて

天までとどけ

と~まれとまれ

この指とまれ



ついに天までとどいたよ!











空からの贈り物



雨だと思ったら何か角ばった

変な物が空から降ってきた

よく見るとそれは文字だった



先程まで雨が降っていたので

あちらこちらに水たまりがある



その水たまりの中ににも

ポチャポチャと音をたてて落ちてゆく

私は何となく水たまりの中の文字を掬い

コンクリートの椅子の上に置いた



漢字とひらがなは水を含んでいたが

コンクリートの椅子が水気を吸ってくれた



その文字をあれこれ組み合わせていたら

ワンフレーズの文章になった



「あなたの心の穴を埋めてあげたい」

何故私の心の中が分るの?

何となく拾って並べただけなのに…



今薄日が差してきて

心がわずかにほっこりしてきた

心の穴がふさがってきたのかもしれない

この空からの贈り物に感謝したい











間に合う



もういいよ

言い訳ばかりをきく夜道

君がだんだん小さく見えて

私の心が萎んでしまう



あの時の君は大きく見えた

まだ今なら間に合うから

これ以上言い訳はやめて



お願い

私の萎んだ心に空気を入れて

今ならまだきっと間に合う









蝉時雨



五時二十分

目覚し時計に起こされる

外ではもう蝉がうるさい程に鳴いている



今鳴いておかなければ

今鳴いておかなければと競って鳴いている



あまりの蝉時雨に

風情を通りこしてうるさい



閑かさを詠った

芭蕉さんとは違い

風流ではないわたしは

これだけ鳴き通している蝉は

疲れを感じないかと

変なところで感心している



わずか十日程の間に

子孫を残して死んでゆく

蝉だって鳴かずにはおられないのだ









砂上の楼閣



砂上の楼閣

あっけなく波に

呑みこまれ

君との別れ

決めてる私











気がついたふり



わたしは気がついた

本当は気がついてはいないのだが

気がついたふりをした



気がついたふりをしていれば

そのうち何かに気がつくかもしれない



人々はそんなわたしの何かを待っている

大きな期待をこめて



人々のそんな気持ちを分っていながら

わたしは平然と人々を待たせている

そんな人々にわたしは言った



わたしに何も期待しないでください

皆さんを満足させる何かをわたしは持っていません



只ついうっかり

気がついたふりをしただけです

そう気がついたのです

ほんの今









夜空



ひとつまたたき

またひとつと増えてゆく

夜空の星を眺めつつ

こんな穏やかな夜が

あってもいいなと思う



大きくひとつ深呼吸しているわたしを

可愛く思う









ぷかぷか



水の上を雲がゆきます

ぷかぷか

風に乗りぷかぷか

流れに逆らいぷかぷか



大きな橋をくぐり

堰を駆け上りぷかぷか



トラックが併走し

流れてきた空缶にぶつかる

それでもぷかぷか

ぷかぷかぷかぷか遡る



きっとある

きっとあるんだ山の上に

青い鳥小鳥の住む森が



ぷかぷか信じて遡る

ぷかぷか









子育て



もう一度子供を

産む事が出来たら

自分がしてきた様な

子育てはしない



それは今だからそう思える

あの時は自分なりに

精一杯やって来た

夢中に



それでも思う

もっともっと

子供を抱きしめてやれば良かったと

今だから

今だからこそ思う









性格のひとつ



私は人の顔と名前を覚えるのが苦手だ

歳をとったからという訳ではない

若い頃からさっぱり駄目だ



仕事柄

学校の先生や看護師さんは覚えが早い

感心を通りこし尊敬してしまう



自分でもどうしてこんなに覚えられないのか

それを思うと情けなくなる



つまりは記憶力そのものがないのだ

これは私の性格のひとつでもある



今迄ずっとこの性格と付き合ってきたのだから

これからも

いやこれからはもっとこの性格に

拍車がかかるだろうが

付き合っていくしかない

いやはや









買溜め



テレビでアイスクリームのC・Mをやっている

無性に食べたくなる



あ~食べたい食べたい

夜の九時半

コンビニに行けば売っている



この時間にアイスクリーム食べたさに

コンビニまで行く気がしない



食べたい・行きたくない

食べたい・行きたくない

暫し葛藤は続く

結局行きたくない方が勝った



仕方なく冷蔵庫から氷を取り出し

口の中に放りこんだ



こんなものでも何とか慰められる

明日はこんな時の為に買溜めしておこう









ど根性



コンクリートのひびわれから

大根が出ている

これを世間では

ど根性大根と呼んでいる



ど根性

わたしにはない性格

わたしが大根の種だったら

種のままでいる



ど根性

わたしには縁のないものだが

ひとつだけでいい

そのど根性とやらがが

欲しい









言葉の歯磨粉



梅雨が明け

暑さが大手を振ってやって来た

私の出番だと云わんばかりに

蝉も一斉に啼いている



蝉の声は暑さに拍車をかける

時折り耳の中でも蝉が啼く



気怠げに首を振る扇風機が

生暖かい風を送って来る



こんな日は詩心も遠のく

生暖かい風を受けながら

詩を考える



歯磨粉のチューブの最後を

絞り出す如く

言葉の歯磨粉を

歯ブラシに乗せている









あの時



あの時

あなたと一緒になっていたら

なんて



ふと

つまらないことを考えている



私です









タンポポの綿毛



台風の過ぎ去った午後

どこからともなくタンポポの綿毛が舞ってきた

それも外ではなく家の中で



一体どこから入ってきたのか

ベランダに出たわずかな間に付いてきたのか



綿毛を手にした時

何かあたたかいものを感じた

一瞬子供の頃にタイムスリップしたような



懐かしいものだ

タンポポをちぎって綿毛を吹いたり

追いかけて転んでみたり

楽しかったあの頃



こんなものひとつで

心がうきうきするなんて



どこからともなくやってきた

タンポポの綿毛に感謝

懐かしい思い出にありがとう









移ろい



今にも泣きだしそうな

空を見上げつつ

洗濯物を干してゆく



一面に霞がかかったような空

ほんのわずかな風に揺れる洗濯物



洗濯物の後ろでは

プランターに植えられた胡瓜の苗に

十センチ程の胡瓜がぶら下がっている



日に日に大きさを増し

小さなトゲも沢山ついている

三日後には食卓にのぼるだろう



こんな狭いベランダにも

季節は移ろう



昼過ぎからは雨との事

もうすぐ梅雨明けも近いかも…











今 あなたが居る

今 あなたと居る



この一瞬一瞬が

どんなに素晴らしいものか

どんなにかけがえのないものか



それは

あなたを失った時

より一層感じるだろう



だから

今を大切に

一瞬一瞬を大切に



今 あなたが居る

今 あなたと居る









寂しい性格



何かが流行ると

皆そちらの方に行かなくちゃって感じで

その方向に行く人がいるが



私は意外とさめていて

流行りに流されない

もしかしたら只単に天の邪鬼だけかも



また行列の出来る店とかあるが

並んでまで食べたいとは思わない

これもまた気が短いだけかもしれないが

これが私の性格だ



だけど流されるなって云うのではない

それはそれでいいと思う

人は人自分は自分だから



とは云え何となく寂しい性格だ









手加減



梅雨が明けると

夏が牙を剥きやって来る

蝉が激しく啼き

暑さが私を包囲する



夏が今牙を研いでいる

私は夏の牙に刺さらないよう

逃げる準備をしている



夏よ 私を刺さないでくれ

君に勝とうなどと毛頭思っていない

只少しでいい 手加減してくれ

私がダウンしない程度に…









高みへ



いつになったら詩らしい詩が書けるんだ

と自分が自分に言った



そんなに簡単に書けるものなら

とうの昔に書いてるよ

分っているくせに難癖つけないで



そう言っていつも自分を甘やかしている

そんなつもりは毛頭無いけれど

自分の実力がどんなものかは

自分が一番よく分っている



まあだからって努力をしていないのは認めるけれど

致命的なのは才能がないからなあ



それは分っている

分っているうえであえて高みを求めてほしい

高みかあ~



どれだけ高く行けるか分らないけれど

少しだけ努力してみるか









聞き役



人の会話についてゆけず

唯聞くだけの人になる



顔だけは微笑を作り

分ったような顔をする

時々相槌を打ち

そうだね なんて云ったりして

何がそうなんだか

自分で自分が理解出来なくなる



それでも相手は満足気に

話を続けてゆく



私は完全に聞き役に徹し

その場の雰囲気を壊さず

物知り顔なんかして…



そんな私の役割も必要なんだと

自分自身に云いきかせた



私に疲労感だけを残し会は果てた








ほっとしている



あげは蝶が私の目の前をふわふわとんでいく

何気なく見上げた空に幾本かの

飛行機雲がたなびいている

郵便受にDMと友人からの手紙が入っている

遠くから暴走族のオートバイの音がする

私の手が包丁でトントン大根を刻む

隣りの部屋からパソコンのキーボードを叩く音がする

少し開けた窓から雨風がカーテンを揺らしている

何気ないない日常が静かに進んでいる

そこに自分が居ることを確かめ

何故かほっとしている









心の棘



垣根に蔓バラが這っています

赤い真赤な蔓バラです

バラの棘が有刺鉄線のように

私の心に刺さります



あなたのあの言葉が刺さります

あなたには何気無い言葉だったでしょう

でもそれは 私の心の風船に刺さり

パァン!と音たてて割れました



傷からは真赤なバラのような血が流れ

やっと薄いかさぶたが出来ました

今はあなたのあの言葉を忘れようとしています

だからお願い

もうかさぶたを剥がさないで

そっとしておいて下さい



真赤な蔓バラの花びらは

音も立てずに散りました









困ったね



坂の上から何かが転がって来た

拾いあげてみると「もうすぐ」

と言う言葉だった



坂の上を見ると

次から次に言葉が転がってくる



一体誰が転がしているのか

私の足元にはかなりの言葉が

溜まっている



その言葉を繋げてみると



もうすぐ梅雨明けだね

梅雨が明けたら

海へ行こうよ

海で泳いで船に乗って

夏を満喫しよう



と言う文章になった

でも私泳げないし

船酔いしちゃうんだよね

困ったね









出そびれる



ポケットの中には

あなたに謝る言葉が入っている



この間つい強い口調で

あなたを傷つける言葉を

口にしてしまった



あそこまで言うつもりはなかった

でも売り言葉に買い言葉で…

言ってしまってから

「まずい!」って思ったけど止められなかった



あなたは怒るかわりに黙ってしまった

私も気まずさにいたたまれず

帰って来てしまった



ポケットの中で言葉がガサゴソ動いている



どれから出そう



ピ~ンポ~ン

ベルを押した

出て来たあなたは

笑顔で「やあっ!」と言った

ポケットの中の言葉は

出そびれてしまった









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