夢の通路
夢と夢の間には
微妙な通路があり
その通路を通り抜け次の夢にゆく
よく夢はモノクロだと云われるが
私の夢は全てカラーだ
そして何故か嫌な夢が多い
自分が嫌だと想っている事を
様々な角度から
何度も何度も見させられる
もううんざりだ
何故か楽しい夢は少ないが
楽しい夢を見た日は一日が輝いている
起きた時は忘れてしまっていても
夢を見ない日は一日もない
今夜も夢の通路を通り
何本の夢を見るのだろうか
テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術
ほくそ笑む夏
今はまだ
夏はなりをひそめている
カラッとした
気持のよい風の奥で
とぐろを巻き
今か今かとそしらぬ貌で
出番を待っている
そしてある時
ぬっと目の前に現れるのだ
そんな時体の芯から汗が吹き出る
皆不快な顔で
汗をぬぐったり腕まくりをしたり
木蔭に入ったりしてやり過ごす
夏はニンマリほくそ笑んでる
これからは黙っていても
汗が出る季節がくる
皆涼を求め
エアコンの利いた所へ逃れる
夏の思う壺だ
夏に負けるな!
夏の胸座をつかみ背負い投げしてやる
それとも夏に塩をかけてしゅんとさせてやるか
夏はほくそ笑んでる
なりをひそめて…
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五円になる夢
二円拾った 花壇の中で
離ればなれになっていた二円が一緒になった
二円拾った ラッキーと想った
この二円は明日の賽銭となる
二円拾った それぞれが光っていた
明日賽銭箱の中で沢山の一円に逢える
二円拾った 何故か捨てられた様に見えていた
一円では創る事の出来ない高いお金なのに
二円拾った 拾って欲しいと訴えていたから
今 ポケットの中で重なってる
二円拾った ポケットの中で
もしかしたら
五円になる夢を見たいるかもしれない
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発 見
今朝スーパーで
青めのトマトを買ってきた
夕方見たら少し赤くなっていた
夫に
「ねえねえトマトが朝より赤くなったよ」
って言ったら
夫が
「恥ずかしくて赤くなったんだね」
と言った
私は知らなかった
トマトが恥ずかしがるなんて
新しい発見でした
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終止符に
この恋は
続けていても いいのでしょうか
二人の間に
疑問符が横たわる
世間一般では 祝われない恋
分ってはいるけれど…
もう少しだけ このままでいたい
あと もう少しだけ
そしたらきっと
きっと終止符にする
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宝くじ
一枚の宝くじに
運を託して買ってみる
一から四十三の数字のうちの
六つの数字を選ぶ
一等の当たる確立は
およそ六百万分の一
絶望的な数字だ
六百万通り買えば一等が当たる
つまり十二億円で一等が当たる訳だ
勿論そんな事は出来ないから
たった一枚のカードに
六つの数字を慎重に塗り潰す
そして抽選の翌日の新聞を見てみる
二つの数字は合っていた
しかし三つ目の数字が一番違いだ
あ~惜しい!
三つ合っていれば千円当たっていたのに…
恨めしそうに何度も見てみる
明日になればこの数字がかわってくれるかも
なんて あり得ない事を考えながら
溜息まじりに宝くじの券をゴミ箱に捨てる
たった一枚買っても当たる人は当たる
自分の運の悪さを嘆きつつ
今は懸賞葉書を書いている私だ
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ビッグバン
頭の中の言葉が
ビッグバンした
花火のように散る言葉
光 目覚め 男 女 月夜 星空
美しい 動物 魚が泳ぐ 遠足
あれ程いい詩が泛んでいたのに
あの言葉は何処へ行ってしまったのか
拾っても拾っても
想うような詩にはならない
何てことはない
始めっからいい詩なんて泛んでいなかった
ただ言ってみたかった
いい詩が泛んでいたって
ちょっとだけ いい顔したかった
そんな事ってあるよね
で こんな詩になりました
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羽ばたく
車のドアを開けたら
もう一方のドアの外に
無限に広がる世界があった
その世界に想いを馳せ
外界へ飛び出す
体に少しづつ羽根がはえ
羽ばたけば自由に何処へでもゆける
空から見る下界は美しい
ついさき程まで悩んでいた事が
嘘みたいに気持いい!
高い所から観てみると
自分がどれだけちっぽけな人間かが分る
このまま黄泉の国にゆけたらと
ふと想う
もっともっと高くと翼を動かすため
手を羽ばたきながら
布団の中で目が覚めた
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勇気があったら
私はこう想っているのに
相手に強く言われると
喉元まで出ている言葉を
呑み込んでしまう
情けないと想う
言えばいいのに
ほんの少しの勇気がない
しかし何でもかんでも
言ってしまわない方がいい時もある
その時は「良かった!」と想う
だけどやっぱりもう少しだけ
勇気があったら…
と 心から想う
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小判草
今朝小判草を採って来た
去年も採ったが
去年のそれはもう枯れた物だった
枯れた物の方が小判に似ているが
青い小判草もまたいい
どうして今朝採る気になったかは
今朝方の夢の中で
小判草が出て来たからだ
実際に生えているかどうかは
分らなかったが
何とはなしに去年採ったあたりを
探してみたら青い物が
実を付け小判の形になっていた
それを数本採って来た
何かいい事がおこりそう
そんな予感がした

去年の小判草

今年の小判草
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大空に
私の傍らに詩の本がある
本に耳を傾けると
何か囁く声がする
ヒソヒソ ヒソヒソ
本の中の言葉が
思い思いに話しかけて来る
詩の一編一編が
ページを繰ってほしくて
声をあげているのだ
私が本の中程を開いた途端
いきなり言葉が
弾けて飛び出し
言葉はタンゴを奏でるように
心地よいリズムを刻み
大空に流れていった
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早く見つけて
私は缶を蹴って急いで走る
胸をドキドキさせ
物陰に身をひそめてうずくまる
遠くで近くで
「○○ちゃん見っけ」の声がする
ああどうしよう
見つかっちゃうかなあ
より一層体を小さくし
そしてそのまま
鬼に見つけられず
大人になってしまったような
そんな不安を心に抱き
今を生きている
鬼さん早く私を見つけて!
あなたから早く自由になりたいから
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心の棘
垣根に蔓バラが這っています
赤い真赤な蔓バラです
バラの棘が有刺鉄線のように
私の心に刺さります
あなたのあの言葉が刺さります
あなたには何気無い言葉だったでしょう
でもそれは 私の心の風船に刺さり
パァン!と音たてて割れました
傷からは真赤なバラのような血が流れ
今 やっと薄いかさぶたが出来ました
あなたのあの言葉を忘れようとしています
だからお願い
もうかさぶたを剥がさないで
そっとしておいて下さい
真赤な蔓バラは どこまでも美しく
かさぶたが ポロッと 落ちました
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どこかにきっと
子供の頃
一面のれんげ畑や菜の花畑があった
れんげ畑の中で
寝ころんだり
花の冠や首飾りを作って遊んだ
れんげや菜の花の香りに包まれ
飽く事もなく
冠や首飾りを作り続けた
ピンクと黄そして空の青
麦畑の緑の穂が
風にざわめき
大地とたわむれた
あの頃の無垢な魂は
今は様々な色に染まってしまった
しかしどこかに染まらない
そんな魂がきっとあると思う
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道が途切れるまで
君が右の道を行こうって云ったから
右の道に来たけれど
本当に右で良かったのかしら
こんな所まで来て
まだ迷っている私です
あの時 あの時左に行ってたら
私の人生 もう少しましだったんじゃないかって
想っても仕方のない事を
こんな所まで来て
想っている どうしようもない私です
どう想っても
もう戻れない道だから
振り返るのは もう振り返るのはよそう
あの時は右しか選べなかったのだから
これからずっと
ひたすらこの道をゆこう
この道が途切れる その時まで
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人生山あり谷あり
今が一番幸せ
と想える日が
毎日続いたら
とても幸せだ
でも現実には
幸せに想えない日があって
どうしようもなく
心は萎えてくる
そんな時
曇り空に
一条の光が差すように
少しだけ救いの手が
差し伸ばされる時がある
ちょっぴり差し伸ばされた
その手を想いきり掴み
幸せの
高みへと登ってゆく
人生山あり谷あり
山の日が長くある
そんな人生にしたいと願う
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旅に出た
たんぽぽの茎をちぎり
まるい綿毛を
思いっきり吹いた
綿毛は風に乗り
空を飛んだ
気持ちよさそうに
宙を舞い
どこかでたんぽぽになる
夢を見て
旅に出た
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亀
公園の池で釣り糸を垂れていた
見ていたら浮きが沈み
引き寄せられた糸の先には
亀がついて来た
鯉を釣っているのに
こんな物ばかりが釣れてしまうと
苦笑まじりに釣れた亀を道端に投げ出している
何故道に亀が転がっていたのかが分った
合計三匹の亀が転がっている
それも緑亀ばかりだ
子供が夜店で小亀を買い
飼いきれずに池に放したものが
増えに増えてしまっているのだ
道端に転がっている亀もきっと
また池に戻されるのだろう
そして在来種が減り
外来種にその座を奪われてしまう
悲しい現実がこんな所にも存在している
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世間話
木漏れ日が地上に落ち
影を創っている
影の上には春の落葉が
所狭しと降り注いでいる
木漏れ日が風に揺れ
影が様々に形を変え
影絵のように物語を創る
物語はいつ果てるともなく
語り続けられている
世間話みたい……
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